某 廃 墟 寮


事の始まりは、知り合いの人(Aさん)が家に来た時でした。
ドアを開けて入って来る・・・
何時もはその人が入って来ても、こんな感じがする事はなかった。
私は玄関に背を向けて顔も見ないでいたんだけど、そのすごい悪気。
すごく怒りまくってるのがわかった。

「うわ・・・ 何憑けて来たんだ・・・」と心で思いながらも言うに言えず・・・
「うざいなー」と思いつつ・・・

Aさんは以前からたまに数体霊を憑けていても平気でいるような鈍感タイプで、今まではほっといた。
だけどさすがにこの日は迷惑だったから態度で示したけど、本人はやはり「何???」という感じ・・・

聞いてみると
「この間行った心霊スポット・・・ あそこかな??」
と言った。

本人は全くわかってない。
「それだけの者を憑けているんだから、さぞかし体が重いとか痛いとかあるでしょう?」
と聞いても
「いやぁ〜、、元気だし・・・・」
と答えたが、目は視点が定まらず据わってる。
目の回りにはクマもひどく、まさに喰らってる顔。

Aさんに一度も除霊をした事はない。
今まではまぁそのうち消えてるという感じだったのでほっといた。

そうして視ているうちに、憑いてる霊から話というか訴えがあった。
その霊は女性でした。

どうやらその心霊スポットから憑いてきたそうで。
彼女がいうには
「とにかくうるいさい! 来るな! もう来ないように言ってくれ!」

また・・ だ・・・
またお願いされてしまった。

「それはわかった・・・」と返事をしたけど・・・

さてぇ・・・ どうやって多くの人達に知らせるか?
やっぱサイトに書くしかない・・・
それだけでは済まないよなぁ・・ 限界があるし・・・

Aさんに「そこって有名? 沢山冷やかしが行ってるの?」と聞くと
「そうです。人も大勢行ってるみたいです。」
「何で行ったの?」
「自分は行きたくなかったんだけど、弟が行こう!と言い出して、両親も一緒に行ったんです」
と答えた。

(!   _  ) ジトーッ!
呆れた・・・・・・

親が同行・・・ なんて親なんだ・・・ 普通止めるんじゃないの??

「現場でおかしくなったのは自分と母です」と言った。

この親と私は面識ないんだけと、写真は見ているので体質も知っている。
一家全員霊媒体質です。
弟はその中でも比較的強い方で、そう影響は受けないと思いますけど。

「もう行ったら駄目だ!」と怒りました。

その後、除霊する事になりました。
除霊をする部屋に近づくにつれて、Aさんの様子が変に。
「あっ・・ なんだか背中がおかしい・・・・」
部屋に入ったら
「あぁ・・ なんか変な感じ。一部だけ熱い。」

私はこの人の背中を視ると
「ココでしょ?」と触れてみた。
「そうそこです」
実際熱くなってる訳ではありません。
本人にそう感じるだけです。

普通の霊・・ 特に悪霊の場合は冷たいという感じになるんだけど、何で熱いのか・・・?
それは不明でした。

そこで自分の顔を鏡で見てもらったり、いろいろ話してるうちに霊の怒りも納まってきてて、初めは「上がりたい」と思う気持ちも持っていなかったのが
「出来れば本当に安らかになりたい。」
と思う気持ちが伝わってきました。

なので浄霊をする事にしました。
この霊に「約束は果たす」と約束した。

浄霊を済ませると、今までは感じるなんてなかったが
「あー。軽い!」
軽さをやっと感じたようです。顔も元に戻りました。


さてさて・・・ どうしたものか・・・・
丁度そんな事があった少し前に、雑誌の依頼で外回りの話が来てました。
まさか・・・
これでココに行くなんて言われたりして・・・

編集の人と打ち合わせをしても、行く場所は決まってなくて
「いろいろと場所を検討していて、なかなか良い所がない」
と言うので
「そうだ! ココに行って雑誌で書けば、もっと多くの人に伝える事が出来る!」
と思い私からココを提案しました。
やっぱり伝えるにしても、そこの状態を知らないとならないし。

私は詳しい場所も知らないし、聞くのも初めての所だったので、いろいろ調べたけどこれといった情報はなかった。
地元では有名らしいがAさんはただ「廃墟の寮」という事だけしか知らない。
それで地図を書いてもらって、それを頼りに行く事にしました。
なんとまぁ地図のいい加減な事、、、 ( ̄  ̄;)。

当日は何とか辿り着く事が出来ました。
まだ日が落ち始めた頃だったので、なんとか歩けるかというくらい。

一階 一階の床はほとんど抜けていて、歩くのがかなり困難と聞いていたけど本当にひどい・・・

Aさんにどんな謂われ(いわれ)があるのか聞いても
「二階のトイレに霊がよく出るとかくらいしか知らない。」
と言っていた。
なんじゃそれ・・・ (*-_-)

まぁスカかもしれないけど約束したし、あれだけの霊がいる所なんだからなぁ・・・
私を先頭にライターとカメラマンの取材陣、そして助手を連れて中に入りました。

廃墟寮:全景 外から見ても窓から沢山の霊が覗いてたり、くつろいでる姿が見えました。
初めに入った所はどうやら小部屋の一つ。
女の子らしい部屋の飾り。ポスター。
映画のポスターから判断すると、だいたい昭和40年代。
この部屋は左右に二段ベットがあります。
どのベットにも霊が横になってます。
ちょっとどんより・・・

次は食堂兼娯楽ホールらしく、カラオケの歌詞カードなどがあり、見るとこれは昭和と言っても・・・ 昭和初期かも?って歌ばかり。
Aさんの話によると昭和の新聞があったと言ってたけど、それはわかりませんでした。

各部屋を視るにあたって、私はまず
「ごめんねぇ・・・ 心配しないで、きっとみんなの思いを伝えるから協力してね」
と言いました。
しかし・・・ この手の取材が初めてのライターとカメラマンは「怖い!怖い!」と言いつつ、ズカズカと入ってしまったので・・・・

二人が娯楽ルームに入った瞬間。
どぉーーーーーとその部屋に居た霊が二人を囲んだ。

ありゃー・・・ まずいわ・・・ (^^ゞ
だけど黙って様子を見てた私 (^▽^;)

「離れた位置でみんなに大丈夫だから・・ 冷静にぃ・・怒らないで・・怒らないで・・・」
と心で話しかけ、みんな(霊達)は二人から離れた。

ふぅ・・・

この手の事で懲りてる助手はさすがに無心でいたらしい。
各部屋を覗いたけど、霊が多い部屋とそうでもない部屋がありました。
二階へ向かい廊下の奥を見ると肉眼で見えました。

二階へ向かい廊下の奥を見ると・・・・肉眼で見えたーーーー!
「今の見た?!」みんなに聞いたけど、何故かみんな無言・・・・ ( ̄  ̄;)

白い物・・・
これは「二階のトイレで一番霊を見る」という話と一致します。

霊といっても人の姿ではなく白い影? 白いモノだって。
後日Aさんに確認したら、実際見たという人の話によると「表から二階のトイレの窓に白い物を見た」と言っていたそうです。

どうせ行っても肉眼では見えないんだろうし、時間も早いしと思ってたけど、見えたのでそれにビックリ。

だけど・・・ 見えた瞬間、誰もシャッター切りませんでした (0▽0;)

廊下左から丈は180センチくらいはある。
二階 細い楕円の白い薄い霧のような霊。
右がトイレです。
そっちに向かいすぅ〜 っと移動しました。
私はとっさに「今の誰か見えた人いる?」と聞きましたけどその時は返事なし。

そしてその霊は廊下の角に立ってる。
ココにいるよ。

「すると助手はココでしょう? 大きいよね? このくらい。」
と手で高さも示した。
そう、そこだし高さもあってる。
白いのが見えたけど勘違いかと思ったと。
だけど間違いが・・・
助手はこの霊を大きさからか男性と言った事。
大きいけど女性です。
そして床より少し浮いてるから、それだけに背丈も高く見えたんでしょう。

その時の私は、ただトイレにいるとしか聞いてなかったので、トイレの中だと思い「これは違う」と思った。

そしてその問題のトイレが見つからない・・・
二階に上がり開けた扉の向こうが洗面・洗濯・調理する所はあったけど、奥まで覗いてなかったので気がつかないでいただけでした。
そこにトイレはあったんです。
トイレ そのドアに向かって移動してた霊。
もしかしたらこれか?
トイレの中とばかり思っていたけど、トイレの前かも・・・
これは後で確認したいと思います。

とりえず全体を視て、みんな(霊達)とも仲良く?なって。
だけどこの廃墟はやたら男性の霊がいる。
どうやらココとは関係のない霊も大勢ココにいついてる様子。
外から覗ける一階の個室では、中高年の男性ばかりが置いてある布団の上でゴロゴロとくつろいでいました。
娯楽ルームの霊は楽しく騒いでる様子。
だけどこの部屋の霊は喜怒哀楽が激しく、邪魔者や攻撃してくる者に対して過剰に攻撃する性格です。
相手によっては大変危険です。

供養 さぁーココはもう帰ろうという時に、私は線香を焚き「安らかに・・・」と手を合わせる私を見て、この時慣れない二人は「手を・・・ 合わせた方が良いですかぁ・・?」と聞くので「もちろん」と答えた。
後で聞くと。
「ちゃんと謝りましたよぉ・・」とオドオドしながら「仕事とはいえイヤだ」と言ってました。

だけどココから離れようとする私に100近くの「あげてぇー!」という霊が・・ あぁ・・ またこうなった。
仕方ないので連れて帰る事に・・・

残りはココでこのままのんびりするらしいです。
一人だけベットに腰掛てうつむき、寂しそうにしてた女の子がいたのが気になりますけど。
そしてやはりこうしていては、本当は良くないんだけどねぇ・・と思う。

帰るのに再度外から建物を見ると、みんなで顔を窓から見せてニコニコと手を振り「さよなら」をしてくれました。
私も手を振ってバイバイ。

怖がりのライターからしたら納得出来ない光景なんでしょうね。(^▽^;)
あぁーそれから休憩の時にカメラマンが、私が見た?と聞いてた時、懐中電灯の光がそう見えただけだと思っていたそうです。それにしては光とは違う感じだし違う方向に動いたので「あれ?」と思ったそうです。
「あれがそうなんですかぁ・・・」と言っていた。
これで4人中3人が同じものを見た訳です。
怖がりなライターは怖いので下ばかり見ていて見ていなかった。
「見なくて良かったー」と言ってました。(苦笑)

再度伝言します。
二度とこういう所に行くんじゃない。
私のようにお願いをされてる人達は他にもいる。
言う事聞いてくれるかわからないけど、伝えるとの約束は果たしたいと思います。

ココは聞いていたほど有名ではない。
だけど近くの人達の間では有名らしい。
土地の問題ではなくて、この寮で何か・・ 自殺とか・・ 殺しとかはなかったはずです。
だからココにいる霊は元々ココに以前からいた者と、来た人間が運んだ霊とフラフラとココに来ていついた霊達です。
ただ一人だけ・・・
うつむいてた女性は、おそらくココに住んでた人でしょう。
病気で亡くなったようです。

心霊スポットは冷やかしで行って「楽しかった!」「怖かった!」では済まない。
霊が見えない人、感じない人でも大勢の霊達が貴方を囲んでる。
憑いてくる。
それを覚悟ではなく了解して行くしかない。
止めても行く人達。
そこには霊達の生活があるって事。
そして「もし自分だったら・・・」と自分に置き換えて考える事。
自分がされて嬉しくない事は霊も同じ。
肉体があるかないかの違いだけ。
思いは変わらない。

そしてこの後も他のスポットへ行きました。
それはまたアップするか考えます。

最後に、なぜ私が一番嫌いとするこういう依頼を受けたかというと、
場所も伏せて霊を知ってもらう事と、危険だから行かないようにという事を書きたい
という企画だったからです。
そういう事なら私は喜んで協力します。
霊からメッセージを伝える事を続けて行くつもりです。

後日談

当日・・・ 実は私は連れて帰った霊達をちゃんと上げてあげないで寝てしまいました。
そしたら・・・ 夢に霊が出てきてうなされました (*-_-)
金縛りではなく夢の中です。
霊夢です。
だけど薄ぼんやりとしててハッキリしないんですが、何か女性の霊が私を突っつき、せかしてるような感じでした。
そこで私は「あぁちゃんと上げてないからだな」と思い、翌日は試しにこのままにしておいたらどうなるか、意地悪だけどあえて何もしないでまた寝ました。(苦笑)
案の定ですぅ・・・
同じようにうなされました。

そういえばココしばらく夢すらも見てなかった事に気がつきました。
その後上がってもらいました。確認も出来たし。(^^ゞ

で、もううなされる事はなくなりました。
みんな上がったんだなぁ・・・ 良かった。良かった。ホッ
結城 瞳


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