メッセージ


投稿:女性

わたしは20代の主婦です。
このお話は、今から約10年前のことです。
わたしはこの体験以来、もう、心霊スポットに行くのを止めました。
なぜなら、自殺霊の悲痛なメッセージを聞いてしまったからなんです。

その頃、わたしはまだ10代でした。
精神的にも生活的にも荒れに荒れ、夜な夜な遊び歩いていました。
遊ぶといっても田舎ですから、せいぜい友人宅にたむろうかカラオケやドライブと言った感じです。
でも、ドライブというと必ず出てくるのは心霊スポット探検・・・。
その頃から、自分が見やすい体質だというのは何となく自覚していました。
けれど、好奇心、いえ、もしかしたら呼ばれていたのかもしれません。

○○荘。
わたしは、この名前をその日初めて聞きました。
何でも昔、ここで民宿を営んでいた男性がある理由でこの建物の中で首を吊って、自ら命を絶ったそうです。

それからというものの、幽霊を見たという話が絶えず、建物を壊すのも躊躇われ、何時の間にか、心霊スポットと化してしまったそうなんです。
○○市から車で約1時間、それは山間の寂れた民宿の廃屋でした。

ですが、周囲は数軒の民家と田んぼ、周りの人達はごくごく普通に生活を営んでいるという、昼間だったら大変のどかな風景の中にありました。
わたしたちは、民家の脇に車を止め、田んぼの中の一本道を進んで行きました。

深夜12時。
はしゃぎながら歩く私たちの声はさぞや迷惑だったかと思います。
夏だったので、独特の もわっとした空気 が何とも気持ち悪かったのを憶えています。
わたしは途中でふと、中空を見ました。

「え? 何、あれ!」

前を歩く先輩の左上の頭上に、白っぽいモヤがかかっていたのです。
「先輩、あたし、コワいっすよ〜。戻ってもいいですか?」
わたしは、何だかとっても悪い予感を感じていました。
これ以上はマズイ! と・・・。

「何言ってんだよ〜。そんなんじゃ、来た意味ねーべ?」

「や、すみません。どうしても駄目なんです!」

そう言って、半ば逃げるように車に戻りました。
この時点で「彼」は警告を発していたのでしょう。
わたしは車の中で、ずっと般若心経を唱えていました。

ですが、わたしはこの警告を破って、再度ここを訪れてしまったのです。
前回とは違うメンバーとでしたが、この中で感じる体質はやはりわたしだけでした。

この日は土曜の夜だったせいか、○○荘には私たち以外にも10人以上の若者がいました。
私たちのグループは、何組かカップルがいたため、女の子がキャーキャーいうのを楽しんでか、かなり無謀なことをしていました。
建物の中で爆竹を鳴らしたり、大声で歌ったり・・・。
ほんと、ご近所にも霊にも迷惑なことですよね。

「いいのかなぁ。やばいんじゃないかなぁ。」
わたしは心の中でそう感じていましたが、前みたいに場の雰囲気を壊すのは、友人カップルに悪いと思い黙っていました。
「○○も、中、入ろうよ〜。」
何にも感じない友人は、わたしが「駄目」だということを知って、誘ってきました。
でも、やはり、この日も嫌な空気をずっと感じていたので断りました。
「ふん。つまんな〜い。」友人は嫌な顔をして建物の中に消えました。

田んぼの一本道、わたしだけが取り残されてしまいました。
遠くに友人達のはしゃぎ声が聞こえる以外は、かえると虫の声。
しーんとして、何とも気味が悪い空気が漂っていました。

「あー、今日帰ったら、寝際に金縛りに遭うだろうなぁ。」

なんとなく、ここの主がわたしを怒っているのがわかっていました。
やはり、自分の保身ばかり考え、友人等を止めなかったからでしょう。

明かりも消えた田んぼの真ん中で待つこと30分。
やっと友人達は戻ってきました。
「あんたもくれば良かったのに〜。」

わたしがどれだけ怖かったかも知らず、みんな楽しそうでした。
「この人達、何ともないのかな?」
わたしには不思議でなりませんでした。

この日、ここの他にもカラオケなどで遊び、家に帰ったのは午前5時。
もう、すっかり明るくなっていました。
何となく、眠るのが怖かったわたしは、そのままアルバイトに行きました。

バイトから帰り、床に就いたのは夜12時。
何となく寝付けず、布団の中から部屋の中を眺めていると、黒いモヤが蠢いて(うごめいて)いるのが分かりました。

これは、わたしが金縛りに遭う時に決まって現れるサインのようなものでした。
気にしながらも、やはりウトウト来てしまい、あとちょっとで眠るという時、やはり来ました。
耳元では轟々と耳鳴りがし、手を誰かに押さえつけられていました。

「う〜・・・・ん。」必死に解こうともがきますが、手足は一向に動かせません。
なんとなく、枕元に誰かが・・・・いる気配・・

「あんた、誰?」

「・・・・。わたしは○○・・・・(一部聞き取れず)が原因で自殺しました。
 もう、静かに眠りたいのです。もう、来ないで頂きたい。頼みます・・・!!
 皆様にもお伝え下さいますよう、お願い致します。」

その顔は、とっても怒りに満ちていて恐ろしかったです・・・
今でも忘れる事は出来ません。

その人物は、わたしにそう訴えてきたのです。
30〜40代の男性。黒のベストにパンツ。ホテルの従業員のような格好をしていました。きっと○○荘の主です。

「ご、ごめんなさ・・い。絶対伝えます!」
わたしが何とか謝ると、男性はす〜っと消えて行きました。
それと同時にわたしの金縛りも解けました。

後日、友人達にこのことを話しましたが、
「すっご〜い。霊体験なんて。あたしもした〜い。
 ね、じゃあやっぱり、あたしの守護霊も見えたりするの?」
と、トンチンカンな答えがかえってきました。

友人等は、それからも様々な心霊スポットに足を運んでいたようです。
一見、何にも感じられない彼らも、交通事故・恋愛問題・怪我などなんらかのアクシデントは、あったようですけど、すべてが霊の仕業とは言えないでしょうが、心霊スポットに行けば何らかの霊を連れてきてしまうこともあるのではないでしょうか。

あの一件以来、彼らとは何となく疎遠になりました。

わたしに忠告をしてきた○○荘の主、彼はそれからどうしたのでしょう?
噂によると、○○荘は不審火で全焼。
今は取り壊されて跡地になったそうです。
この火事もきっと冷やかしの人達のせいでしょうね。

彼は今、ゆっくり眠れているでしょうか?

ご冥福をお祈りします。

そして皆さんにお願いです。
冷やかしで心霊スポットに行かないで下さい。
あの日の霊のメッセージを何時か多くの冷やかしの人達に伝えたいと思っていましたけど、機会がなくてそのままにして気になってたのですけど、こうしてようやく伝える機会に恵まれ投稿させて頂きました。

やっと約束を果たす事が出来ました。



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