懲りない人
結城 瞳 |
---|
ある夜、知り合いの人に車で家まで送ってもらっていました。 その人は、普段から少し運転が荒く、スピードを出して走ってました。 しばらく走っていると、なんか変・・・・ やたら右に寄るなぁ。。。 「なんか変だよ・・・ なんでそんなに右に寄るの? これじゃ危ないよ。」 「え? そうかな? 気がつかなかった。」 「ほら。今も中央線からはみ出してる。」 「ホントだ・・・ おかしいなぁ???」 私は、なにか胸騒ぎがしました。 いつかこの人事故に遭うぞ・・・ 今まで事故とよべるような事故してないのが、おかしいと思っていたし。。。 そんな事を考えていたら、突然目の前に猫が見えました。 いきなり猫の姿が現れてびっくり! 街灯があるので道も結構明るいのですが・・・ その瞬間は、まるでスローモーション・・・ ハッキリ猫の柄、顔、大きさがわかりました。 しかし・・・・ 私の目には、その猫がこの世の者とは思えませんでした。 なんとなく全体の輪郭がぼけてる・・・ 猫は、パッと止まり、こっちを向きました。 猫の目が光る・・・・ 猫の目が死んでる・・・ 車は、そのまま走る・・・ 気がついたのが遅くて、ブレーキが踏めなかったのです。 ゴンゴンと車の裏に当たりながら、猫が左斜めに私の下をころがり抜けていった感覚がありました。 3メートルほど過ぎて、急ブレーキを踏み、車は反対斜線にはみ出して斜めに止まりました。 すぐ後ろを振り返ったのだけど・・・ 猫らしき姿も何にもないんです。 私達は、震えていました。 近くに止めてすぐ車を降り、明るい所で懐中電灯で車の裏を照らしてみた。 ・・・・・ あんなにはっきりと当たり、転がる感覚があったのに・・・ 車の裏は、ホコリがかぶっていて、何処にも猫が当たってホコリが取れてる所もなく。 毛や血などはどこにも付いていませんでした。 運転していた人に聞くと 「右のタイヤに巻き込まれてから右側に転げ出た感触があった」と・・・ おかしい・・・ 二人は、別々の感覚を感じてる・・・ 二人とも確かな感覚だ。 「だから言ってたでしょ! スピード出し過ぎって!」 とにかく現場に戻って猫を探しました。 道には血が一点もなく、猫もいなかった。 転がって低い立ち木が並んでた辺りもくまなく探したけど見つからなかった。 「やっぱりあれは、猫じゃなかったんだよ。 荒い運転やめないから、そうしてるとこうなるぞって、 神仏が猫に姿を変えて脅かしたんだよ。」 「・・・・・・・」 「あぁ、でもホントの猫じゃなくてよかったぁぁぁ・・・ 本当に気をつけてよね!」 私は、ホッと安心すると同時に怒ってました。 それからしばらくは、スピードも落としていたらしいのですが、また忘れてしまったのでしょう。。。 運転が前に戻ってる・・・・ (-_-;) しばらくして私は、その人と遠方から来る友達を新横浜まで迎えに行くのに付き合ってもらいました。 友達を乗せ第三京浜の乗り口へと向いました。 一台の白い車が私達の車をカーブで追い越して行きました。 その車を目で追ってると・・・ 追い越したと思ったらそのままカーブへ激突! ひっくり返りました。 私達の乗った車の5メートルほど前でです。 私達は固まってしまいました・・・ 「あんたもスピード控えないとあーなるよ。」 (-。-) ボソッ しばらく車の中から見ていると、その白い車の運転手は、とりあえず生きてるようでした。 とにかく警察に電話してあげようと、携帯から警察に連絡し、私は車を降り事故車に近づくと、逆さまになった運転手が無言で何か探します。 気が動転してしまってるのでしょう。 「大丈夫ですか? 出られますか?」 「あぁ・・ はいぃぃ。。」 となんとか自力ではい出して来た。 「電話貸しましょうか?」 「警察には、連絡しましたけど救急車呼びましょうか?」 「あー大丈夫ですぅ。。自分でぇ。。。ありがとうございます」 と言うので、私達はその場を離れました。 それからしばらくは、大人しい運転をしてたその人。 でもまた! 忘れると、荒いんです・・・・ 運転が・・・ それから、ある夜。 自分の車を駐車場に止めて、自転車で自分の家に向おうとした途端、前方不注意の車に飛ばされて、道路の真中に叩きつけられたそうです。 たいしたケガもなく、少し鞭打ちにはなったらしいけど・・・・ さすがに今度は、堪えたらしく今度こそ自分も安全運転するって・・・・ 言ってたのに・・・ また 喉元過ぎるとなんとやら で・・・ 懲りないヤツ! ( ̄□ ̄;)!! 後日。。 電話が鳴り、出るとその人です。 「すぐ来てくれませんか?」 しばらくしてその人の駐車場に行ってみると・・・ 爆笑してしまいました。 やけに低いんですよ。車体が。 まるで亀の甲羅です。 買ったばかりのタイヤが、ホイルごと盗まれていました。 更に窓を割られて車上荒し。 行いが悪いからねぇ・・・・ ははは。 その人は、しばらく車を走らせる事さえ出来なくなってしまったのです。 みんなさんも安全運転しましょうねぇ! |