おひな様



結城 瞳

ある方のお宅へ伺った時の話です。

以前から何度か私の所に来ていて、除霊も何度かしている方です。
「床から音がしてる」という事と、「何度も壁から手が出ている」という事が以前からあったそうです。
除霊をするたびに手が出るなどの霊現象は減ったそうですが、
床からの コン コン コン ・・・という音は、ある部屋で座ると下から鳴らされるという。
そして未だに鳴るという事なので、「やはり家の方もやらないと駄目かなぁ・・・」と。
家の方に残ってるのがいる感じ。

そういう事で伺う事になりました。

お宅へ着くと居間に通されましたが、何気なく私が座った位置・・・
「ははぁ〜ん・・・ ここだね。音がするのは。」

そうだという返事でした。

それより、この部屋は駄目だわ。
ココに居たら憂鬱にもなる。
落ち着かない部屋。磁場も狂ってる。
いるだけでイライラする。

なんて話をしてると。

なにやら声が聞こえる。
耳を澄ますと押入れ?
その押入れの扉の辺は確かに空気がまた違ってた。

「この中に何が入ってるの? 人形が入ってない? 声は複数だよ。」

「あぁー、、おひな様がしまってあります。」

私は、ふすまの前に行き近くで聞くと

苦しい! 暗い! 何とかしてよ! 出してちょうだい! 苦しいー!!

と言ってます。

聞くと「3年間出してなかった」と。

早く出してやりな。

早々におひな様は出されました。
おだいり様とお姫様二つだけのひな人形です。

出された二人は

ふぅ〜〜・・」

とホッとした様子。
特にお姫様の方が気が強いので、

全く私をこんな目にあわせて!

と怒っていました。

聞くと二人共、顔に綿と紙を巻いて傷や汚れが付かないようにしまってたから・・・ との事。

確かにそうやってしまうものですよね。
しかし本人達はそれが苦しかった。
この二人は、人形に他の霊が入った訳ではなく、本人達が人形の魂を持ったものです。

喉が渇いてるからお水を上げるように私は言って、二人の話を聞いていました。
こりゃ、しばらくは出しておかないと駄目らしい。
私は2〜3日出しておけば良いかと思って、そう言いましたけど。

お宅の人は数時間と思ったらしく、それを察した二人は・・・もちろん拒絶。
やっと明るい所に出てきたのに! 」って。

それで2週間くらいは出しておく事になりました。


それから数日後、その方が来て
「久しぶりに金縛りにあいました。
 誰かわからないけど、後ろから私の口に手を回し、口と鼻を押さえたんです。」
その方は、
「手を出した一人と思われる女性の霊と、
 床の音の犯人は解決させて結界を張って来てるので
 また他のを連れ込んだのか?」
と思ったそうです。

私はすぐわかりました。
それは、おひな様です。

ただそれを言わないで聞いたら、
やはりおひな様をしまった後の事だそうです。

「だけど今度は紙だけで隙間も開けたんですけどねぇ・・・・」と。。。

それでもやはり、もう暗くて苦しい所にいるのはイヤらしい。
結果、おひな様達は、ケースを買ってもらい年中見える位置に飾られる事になりました。

人形は、こうして魂を持つモノが多くいます。
中には悪いのもいます。
良いのもいます。
扱いは注意しないと大変ですよぉ・・・


そうそう。
このひな人形は、人形作りの人が精魂込めて作った一点物だそうです。
特に念も入りますね。
そして気位も高い。(苦笑)

床の音が気になりますかぁ?(笑)
犯人は猫です。
勿論、生きていない猫です。
感じからすると、おそらくもう骨もほとんど崩れてないような状態だと思います。
元々そこに猫の骨があって、その上に家を建ててしまったか、
建てた後に入り込んで死んだか??
だけどその家の縁の下は、どこからも入れないんです。
だから、建てる前からいたんでしょう。
建ててる途中でかも??

床の音は赤トラの猫のせいで、成仏出来ないでいた。
猫の魂だけを助け出してあげました。
骨まで探すのは、これじゃ無理ですからね。

それ以降、床の音は消えたそうです。


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